アンティークコインの専門店やオークションサイトを見ていると、商品名に「MS65」や「PR70」といった、謎のアルファベットと数字の羅列が書かれているのを目にしますよね。「数字が大きい方が高そうなのは分かるけれど、具体的にどう違うの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。この数字は、コインの価値(価格)を左右する最も重要な「鑑定グレード」です。今回は、趣味でコインを学んできた筆者が、このグレードの仕組みと、購入時に失敗しないための見方の目安を分かりやすく解説します。
アンティークコインの価値を決める「70段階の格付け」の仕組み
アンティークコイン(51年以上前に発行されたコイン)やモダンコイン(現時点から50年前までに作られたコイン)の価値を大きく左右するのが、第三者鑑定機関(PCGSやNGC)が採用している「70段階の格付けシステム」です。これは1940年代にアメリカで考案された「シェルダン・スケール」という世界共通の厳格な基準に基づいています。
評価の数字は「1から70」まであり、数字が大きくなればなるほどコインの保存状態が良く、傷や摩耗が少ないことを意味します。最高峰である「70」は、製造時の輝きを完全に保ち、プロが顕微鏡で見ても欠点が見つからない「完全未使用・最高鑑定」の証です。『70点満点』と覚えちゃってくださいね。71〜100は存在しません。
ちなみにこの格付けにおいて、数字が「1」違うだけで、市場価格が数倍から数十万円も跳ね上がることが珍しくありません。だからこそ、コレクターや投資家はコインのデザインだけでなく、この「数字」を非常に重要視しています。
また、数字の手前につく「MS」や「PR」といったアルファベットは、コインがどういう目的で作られたかという「製造様式」を表しています。
- MS(Mint State):一般の流通を目的に、通常の製造ラインで作られたコイン(未使用・無傷のレベルを表す)
- PRまたはPF(Proof):収集家向けに、表面を鏡のようにピカピカに磨き上げて特別に作られた「プルーフコイン」
- SP:基本的には「スペシメン」の略。特にPCGSではメダル系コインに使われる事が多い。NGCだとコインの状態によっては鏡面仕上げのプルーフ(PF、PR)だったりMSだったりもするがPCGSではひっくるめて「SP68」のように表記される事も多々ある。慣れが必要だがPCGSサイトでポピュレーション(鑑定枚数)を確認すれば普通に価値観は分かるようになる。
初心者が最初の1枚を選ぶ際は、まずはこの「MS」か「PR(PF)」か「SP」のいずれかで、なおかつ状態の良い高めの数字がついたスラブケース入りを狙うのが鉄則となります。
初心者が購入時に狙うべき「グレードの具体的な目安」
アンティークコインやモダンコインを選ぶ際、予算と価値のバランスが最も良く、将来的な値上がりも期待できる「失敗しない数字のライン」が存在します。通常の流通品である「MS」と、収集家向けの「PR(PF)」でそれぞれ目安となる基準を押さえておきましょう。
① 通常の製造コイン(MS)かつアンティークコインなら「MS61以上」が最低ラインの目安
通常の製造ラインで作られたアンティークコイン(MS)を狙う場合、できれば 「MS61以上」、予算が許すなら 「MS63〜MS65以上」 のものを選びましょう。
70段階のうち「60〜70」は未使用(Uncirculated)の領域ですが、61を下回ると肉眼でも摩耗や細かな傷が目立つようになり、将来手放すときに買い手がつきにくくなります。特に人気のある王道金貨を狙うなら、市場で「状態が良い」と評価されるMS63以上を持っておくのが最も安全です。
② 記念用プルーフコイン≒収集家向けコイン(PR / PF)なら「PR65以上(モダンなら69・70)」
最初から美しく磨き上げられたプルーフコイン(PR / PF)の場合、アンティークであれば 「PR65以上」 が価値の落ちにくい世界的な基準となります。
一方で、近年の技術で作られた「モダンコインの復刻版」などを狙う場合は、基準がさらに厳しくなります。現代の製造技術は非常に高いため、最高評価である 「PR70(最高鑑定)」 またはそれに準ずる 「PR69」 以外は価値が上がりにくいという特徴があります。特に銀貨ではその特徴が顕著です。金貨だと金地金価格に合わせて値上がる事もありますが、モダンコインを扱う際は、基本的に妥協せずに70か69の数字がついたものを選んでください。
予算を抑えたいからと「数字のついていない古いコイン」や「評価が50台以下の摩耗したコイン」を選んでしまうと、初心者の資産防衛としての機能は弱まってしまいます。必ずこの目安ラインを意識してスラブケースのラベルを確認しましょう。
まとめ:グレード(数字)の意味を理解して納得の1枚を選ぼう
アンティークコインのラベルに刻まれた「MS65」や「PR70」といったグレードは、そのコインの過去の歴史や現在の価値を証明する最も重要な数字です。
最初は難しく見えるかもしれませんが、とりあえず「MSなら61以上(できれば63以上)」「モダンコインなら69か70」という目安だけをザックリと覚えておけば、購入時に大きな失敗をすることはなくなります。価格だけで選ばず、この世界基準の数字をしっかり確認して、納得のいく価値ある1枚を手に入れてくださいね。
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